2015年12月15日火曜日

書評:ジョン・ウィリアムズ『STONER』

こんばんわ、移動図書館管理人兼紙芝居師のどいけんです。

早いもので、もう2015年も終わりますね。 
僕は毎年、読んだ本やら観た映画やらの棚卸しをやっているんですが、2,3年振りに今年はまずまずの成果がありそうな年でした。落語を聴き始めたりとか、本もそこそこいいのを見つけられました。 

棚卸しに向けてという訳ではないのですが、11月後半から本を読む時間が少し出来てきて、「今年中にもう一つ二つ、グサッと来る奴読みたいなー」と思っていた矢先、今年ナンバーワンの勢いで突き刺さってきたのがこの本です。 



僕が購読しているブログで今年のベスト・フィクションと書かれていた小説で、「作者も題名も聞いた事ないな」と思ったら、およそ50年ぶりに新訳され今年復刊されたらしい。 
そして第一回翻訳小説賞(柴田元幸、などが審査員をしている)という賞も受賞しており、そちらの方面ではかなり話題の本のようだ。 


という情報を得た僕は「ファイトクラブ(これも今年このブログに出ていたのをきっかけに読んだ。)を斥けてベストに選ばれてる、しかも、柴田元幸とかも絶賛してるってのは、どんな小説なんだろう」と思い、早速Amazonでポチりました。 

ポチると"宅配まで12日前後"とか表示されたので、一瞬「なめんなコラ」と思ったんですが、結局2,3日位で届いたので、読みかけの中上健次を傍らに放置して早速読み始めました。 

内容をサマるなら「とある、うだつの上がらない、アメリカの地方大学の英文学者の生涯を綴った小説」と、たったこれだけ。 
だけど良かった。あらすじから考える自分の想像の斜め上、位は想定してたけど、読後感はそういう感じではなかった。 
内容も勿論異なっていたし、上手く言い表し難いけど、言葉選びの巧みさなのか、あらすじから想像出来る自分の心の動きよりもグッと色々な事に想いを引き寄せられた。 
きっと他の人の人生もこんな風に、傍目から分からない色んな事が起きていたりするんだなと思わされた。 

読み進めていく過程はこんな感じ。 

最初数ページ、キャラクター、文章、プロット、どれも上手いし、最初でつまづく事なく読み進められる。 
3分の1、最初と同じように読み進められる。いいフレーズもかなり多い。「3分の1でここまで生い立ちを進めてしまって、後半だれずに物語が終わるのだろうか」と、ちょっと不安になる展開の速さ。 
ただ、最初の3分の1と同じ調子だとしたら、ちょっとイメージ通りの読後感になりそう、とか少し思うのがこの辺り。ここで止めちゃうと1番面白いところが読めないから、ここで止めちゃダメ。 
半分、エピソードも進み面白い、ちょっと思ってたのと違ってきた。読むスピードが上がってくる。 
3分の2、来た来た。ぐいぐい読める。夢中で読み進める。 
そしてそのまま一気に読み終わる。 

なんだかんだ僕は300数十ページ、結局2日で読み終えてしまいました。 

ぐいぐい一気読みしてしまう感じなので、年の瀬ひと段落して、落ち着いて読書するのにおすすめです。 

以上、どいけんでした。 

おしまい 

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