2016年1月7日木曜日

書評:トマス・ピンチョン『LAヴァイス』

あけましておめでとうございます!
今年1本目、いかして頂きます!!
管理人兼紙芝居師のどいけんです。

さて、松本清張とか、去年のベストとか、書く書く詐欺みたいになっているなぁと思いながらもそいつらを棚に上げ、今回書評するのは、トマス・ピンチョンです。

本読みの間では、「いつか読むと思いながら読まない作家ランキング」ベスト3の常連(あとはプルースト、ジョイス、中里介山あたりが常連。どいけん調べ)と言われ続け、
「少年老ヒ易ク平丁(ピンチョン)読ミ難シ 命短シ恋セヨ乙女」と、かの有名な生活指南書である貝原益軒『養生訓』にも書いているとかいないとか、実しやかに囁かれているピンチョンですが、

僕自身も、3-4年前に『V.』を買うも上巻の半分で挫折したところから始まり、『メイスン&ディクスン』を借りては上巻の50ページ足らずで挫折し、満を持して出た新訳『重力の虹』を勇み足で買ったはいいが、これまた上巻の100ページで挫折…と今まで手に余って挫折し続けていました。
(ほかにも『逆光』は上巻3ページ位、『ヴァインランド』は10ページ位で挫折した…)

やっと今回、「ピンチョンなのに普通に読める」と言われている邦訳最新長編『LAヴァイス』(最新著作は"Bleeding Ebge"(2013)ですが未訳)を年末年始かけて読み終えました。



ちなみにポール・トーマス・アンダーソン監督で映画化もされています。(僕はまだみてないけど)

この『LAヴァイス』、時は1970年、60年代のヒッピームーブメントのピークを越え、ヒッピーももう一番ヒップじゃないかもねってな感じになってきた頃の事、ヒッピーな私立探偵ドックのもとに絶世のプリティガール、元カノのシャスタがきな臭いご相談を持ち掛けたところから物語は始まります。

相談を受けて調査を開始した矢先、とある殺人事件に巻き込まれ、そこからはマフィアだの悪の組織だのFBIだのが背後にチラつく渦の中に、マリファナとTVカルチャーとバンドと60年代のうんたらとがないまぜされた状態で巻き込まれていきます。

この辺の雑多なアイテムやら薀蓄やらエピソードやらの入れ方はまぁ、いつものピンチョンさん、という感じ(だよ、多分!)。

これまでの僕はこの辺に絡め取られて物語の筋書きを追えずに挫折…ってなってましたが、今回はそう年末年始がある!だからグッと読み切ろう!ってなわけで勢いを大切に、兎に角読み進めました。

で、全部で500ページ位なんだけど、前半250ページ位はもう正直勢い。ただ、もう次のページがあるからくくる、というノリで、途中2回位挫折しそうになった。
そこをこらえて300ページを越えた位からは、ピンチョンの文体に慣れてきたの半分、「ピンチョンなのに普通に読める」と言われる所以なのか、雑多な薀蓄やら脱線が減って読みやすいなったの半分で、割とすっと読めました。

ただ、何つうか、今回の話でいうと、出てくるアメリカのTV番組とか、サーフ・ミュージックとか、あの時代のアメリカン・カルチャーがマジ分からん。
出てくる固有名詞で分かるのが半分にも満たない。
訳者の佐藤良明が「小説中に出てくる曲を検索して実際聞いてみるのも、雰囲気が出てまた乙なもの」というような事を書いてますが、ちょっと色々分からな過ぎてどういうスタンスで聴けばいいか分かんないっす、乙です。という感じ。

なので、読みたい向きは、ちょっとアメリカン・カルチャーを勉強した方がピンチョン節にもっと心地良く身を委ねられるかも知れません。
僕ももうちょっと勉強しようかなーって、面白そうだし、今後の読みに役立ちそう。

まぁ、散々読めないとか分からんとか言っているものの、「よし、これでともかく一冊読んで慣れてきたし、今度こそ『重力の虹』上下1,400ページ読破だぜ!うら〜〜!!」といった調子で、いま上巻20ページです。

いつ読み終わるとも知れないですが、『重力の虹』はもうちょっとマトモに内容に踏み込んだ書評にしよう。。。

以下、もっと内容の参考になる書評。(『LAヴァイス』に限らず)

円城塔の『LAヴァイス』書評

読みあぐねている人たちのピンチョン入門(逆光 - トマス・ピンチョン)

わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる - 『ヴァインランド』はスゴ本
※ いつも読んでるブログです


といったところで遅ればせながら、移動図書館、今年も宜しくお願い申し上げます!!

おしまい

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